オフィスや施設のセキュリティ強化を考える際、入退室管理システムの導入は有効な選択肢となります。しかし既に設置されているドアをそのまま活用できるのか、それとも大掛かりな工事が必要になるのか不安に感じる方も多いでしょう。本記事では既存ドアへの入退室管理システム後付けの可能性や導入方法の種類を解説していきます。
既存ドアへの後付けが可能な理由
入退室管理システムの後付けが以前よりも容易になった背景には、技術の進化と製品バリエーションの拡大があります。どのようなシステムが後付けに適しているのか理解しておきましょう。
配線不要な無線式システムの普及
従来の入退室管理システムは電気錠との連動や電源供給のために配線工事が必須でした。しかし最近では電池駆動で動作する無線式の製品が主流になりつつあります。これらのシステムはWi-FiやBluetoothを利用して通信を行うため、壁に配線を通す大掛かりな工事が不要です。
電池の寿命も長くなっており、半年から1年程度は交換不要で運用できる製品も珍しくありません。ドアに読取装置と電気錠を取り付けるだけで導入が完了するため、工事期間も大幅に短縮されます。賃貸オフィスなど原状回復が求められる場所でも導入しやすくなっています。
既存錠前に組み込めるスマートロック
既存の鍵穴や錠前をそのまま活用できるタイプのスマートロックも増えています。サムターン部分に装置を被せるだけで設置できる製品やシリンダー自体をスマート対応のものに交換するだけで済む製品があります。
こうした方式であればドア本体や枠に穴を開ける必要がなく、原状回復も容易です。またドアの材質や厚みに関わらず設置できるため、幅広いドアタイプに対応可能です。従来の物理的な鍵も併用できる製品が多く、システムトラブル時のバックアップとしても機能します。
後付け方法の種類と選択基準
入退室管理システムの後付けには複数のアプローチがあり、それぞれに特徴があります。自社の環境や条件に合った方法を選ぶことが成功の鍵となります。
カード式システムの導入手順
もっとも一般的なのがICカードや磁気カードを使用するシステムです。ドアの壁面にカードリーダーを設置し、ドア内側には電気錠を取り付けます。カードリーダーの設置には壁への固定が必要ですが、多くの場合はビス留めで済むため大掛かりな工事にはなりません。
電気錠はドア枠と錠前の位置関係によって適切な製品を選ぶ必要があります。電磁錠や電気ストライクなど複数のタイプがあり、ドアの開閉方向や頻度に応じて選択します。カード式システムは信頼性が高く、多くの利用者がいる環境でも安定して動作する利点があります。
生体認証システムの特徴
指紋認証や顔認証といった生体認証システムも後付け可能です。これらのシステムはカードを持ち歩く必要がなく、紛失や貸し借りのリスクがありません。認証装置をドア脇に設置するだけで導入でき、電気錠との連動も比較的簡単です。
ただし認証精度や認証速度は製品によって差があるため、実際に試用してから導入を決めることが推奨されます。また指紋認証は手が濡れていると認識しにくい、顔認証はマスク着用時に問題が生じるといった課題もあるため、利用環境を考慮した選択が必要です。
導入時の注意点と確認事項
後付けが可能とはいえ、スムーズな導入のためには事前の確認と準備が欠かせません。トラブルを避けるためのポイントを押さえておきましょう。
ドアの構造と耐荷重の確認
既存ドアに機器を取り付ける際、ドアの材質や強度が充分かどうか確認が必要です。とくに古い木製ドアや薄い金属製ドアでは、電気錠の重量に耐えられない場合があります。
また電気錠の取り付け位置によってはドアバランスが変わり、開閉がスムーズにいかなくなることもあります。設置前に業者による現地調査を受け、ドアの状態を詳しく確認してもらうことが重要です。必要に応じてドアの補強や調整を行うことで、長期的に安定した動作が期待できます。
電源供給方法の選定
無線式システムであっても、一部の機器には電源が必要な場合があります。近くにコンセントがあれば問題ありませんが、ない場合は新たに配線を引く工事が発生します。電池駆動の機器を選ぶことで配線工事を回避できますが、定期的な電池交換の手間と費用を考慮する必要があります。
また電池切れによる機能停止を防ぐため、電池残量の監視機能があるシステムを選ぶことが推奨されます。管理画面で各ドアの電池状態を一元管理できる製品であれば、メンテナンスの負担を軽減できます。
まとめ
既存ドアへの入退室管理システムの後付けは、現代の技術進化により充分に実現可能となっています。無線式システムやスマートロックの普及により、大掛かりな配線工事なしで導入できるケースが増えました。カード式、生体認証、スマートフォン連動など複数の方式から選択でき、それぞれに特徴があるため自社の環境に合ったものを選ぶことが大切です。導入にあたってはドアの構造や耐荷重、電源供給方法、既存システムとの統合可能性を事前に確認することでスムーズな導入が実現します。専門業者による現地調査を受けて適切な製品を提案してもらい、長期的な運用を見据えた選択を行うことが成功への鍵となります。後付けによる入退室管理システムの導入は、セキュリティ強化と利便性向上を両立させる有効な手段といえます。






