入退室管理システムの導入は複雑そうで、何から始めるべきかわかりにくいですよね。また、メーカーだけでなく認証方法にも種類があるため、どのタイプが自社の導入目的に合うのか選択に迷います。
そこで今回は、入退室管理システム導入前の確認事項と、選ぶときのポイントをそれぞれ紹介します。自社に入退室管理システムをなぜ導入したいのか確認してご覧ください。
入退室管理システム導入前の確認事項
入退室管理システムを導入する前に確認しておきたい、3つの項目を紹介します。まずは目的や設置場所などを確認して、導入の流れを整理しましょう。
どの認証方法が適しているか確認
入退室管理システムにはいくつかの認証方法があります。使用方法やセキュリティー強度の違いがあるため、目的に合った認証方法を選びましょう。
・暗証番号
テンキーに暗証番号を入力してロックを解除する方法です。認証方法の中でも最も古くから使用されており、導入コストがほかの認証方法よりもかかりません。しかし、低コストな反面セキュリティー面では弱い方法です。
暗証番号による認証方法はテンキーの前で入力するため、背後から盗み見される恐れがあります。手元が周りから見られないように囲いを設置するなどの対策が必要です。また、暗証番号のメモを紛失してしまう、他人に教えてしまうなど暗証番号が漏れる可能性もあります。暗証番号を複数箇所にメモを取らない、口外しないなど管理方法を徹底しましょう。
・ICカード
ICカードを指定の位置にかざすだけでロック解除できる、近年主流となっている認証方法です。企業によっては社員カードと併用できるタイプを作成しているところもあり、暗証番号の次に導入コストを抑えられる方法です。ICカードは社内のプリンターやPCなどの認証デバイスとしても使用できるため、入退室管理以外の用途でも使用できます。
セキュリティー面は暗証番号よりも強化できます。また、一度の認証で複数人入室ができない機能がシステムについていれば、ICカードを持っていない人物以外の入室はできません。しかし、IC カードは簡単に貸し借りできてしまうため、別の人物がかざしても入室できてしまうところがデメリットです。
また、暗証番号とは異なりICカードを持ち歩く必要があるところは手間です。クレジットカードのように財布やスマートフォンケースのポケットに収納できますが、忘れる場合もあり、社外での紛失リスクも避けられません。
・生体認証
顔や指紋を読み取る生体認証は、3つの認証方法の中で最もセキュリティーを強化できる方法です。ICカードのように他人がなりすまして入室することはほぼできません。顔や指紋以外にも、静脈・網膜・虹彩・掌形を読み取る認証システムもあります。また、設置場所に応じてウォークスルー型・受付設置型やタブレット型・屋外対応型など、タイプの選択が可能です。
高度なセキュリティーが期待できる反面、導入コストのかかる点がデメリットです。また、個人の顔や指紋をそれぞれ登録する必要があり、利用開始までに時間がかかります。
それぞれの認証方法にはメリットとデメリットがあります。入退室だけを管理できたらいいのか、機密情報を扱うためセキュリティーを強化したいのかなど、入退室管理システムを導入する目的に合った認証方法を採用しましょう。
設置可能か確認
認証方法によって必要なスペースが異なります。採用したい認証方法が設置可能かは事前に確認しましょう。たとえば生体認証の場合、設置場所によって選べるタイプが限られます。省スペースの受付で利用したいなら、施設の構造によっては立ち止まらずに認証できるウォークスルー型の導入は難しく、受付カウンター上に設置する受付設置型やタブレット型での導入になります。
このように、物理的に設置不可能ではないか、選べる認証方法が限定されないかなどの確認が必要です。
鍵の設置方法を確認
入退室管理システムの設置方法には、鍵自体を既存のものから交換が必要なタイプと後付けできるタイプがあります。予算やメンテナンスのことを考えて、どちらにするか検討しましょう。
鍵を交換するタイプは初期費用が後付けタイプよりも高額になりますが、一度設置すると永続的に利用できます。オフィス移動の予定がないのであれば、メンテナンスが必要ない交換タイプがおすすめです。しかし、故障した場合はさらに費用が必要になることを踏まえておきましょう。
一方、後付けするタイプであれは初期費用を抑えられます。故障時も交換タイプほど費用がかかりません。ただ、後付けするタイプは永続的な使用はできないため、耐用年数経過後は交換が必要です。耐用年数は商品によって異なりますが、法定耐用年数は6〜8年とされています。
入退室管理システムの選び方
入退室管理システムを選ぶポイントを紹介します。一度導入すると長く利用するシステムのため、長期的な観点から選択しましょう。
予算で選ぶ
入退室管理システムは認証方法や鍵の交換の有無で初期費用が異なります。予算を重視する場合は導入コストで選んでしまいがちですが、運用コストも考慮して、長期的な予算で選びましょう。
たとえば、鍵の交換の有無では初期費用は後付けタイプが費用を抑えられますが、定期的な交換が必要です。オフィスの移転予定があるなら初期費用を抑えた後付けタイプ、移転の予定がないなら鍵を交換するタイプの方が費用を最小限にできます。
セキュリティーの高さで選ぶ
セキュリティー強化のために導入を考えているなら、セキュリティーをどれだけ強化できるかで認証方法を選びましょう。機密情報を取り扱うエリアでの設置なら生体認証がおすすめです。紹介した認証方法の中で最もセキュリティーを強化できます。
一方、入退室管理をメインに導入を検討しているなら、ICカードや暗証番号の認証方法がおすすめです。費用を抑えられて正確な入退室日時を管理できます。
このように、必要とするセキュリティーの強度を考えて認証方法を選びましょう。
他システムとの連携のしやすさで選ぶ
入退室管理システムは入退室管理だけでなく、個別の出勤日や残業を管理できるカレンダー機能や、異常を検知し警報を発令できる異常検知機能が備わっています。勤怠管理システムや警備システムと連携できれば、勤務実態の把握も簡単にできるため作業をスリム化できる、警備員の配置を最小限にできるため人件費を削減できるなど効率的な運用が可能です。
サポート体制の充実さで選ぶ
入退室管理システムは選ぶものによってサポート体制が異なります。故障や不具合などのトラブル時に対応してくれるサポートセンターを設置しているところは大前提ですが、導入前の設置診断や運用の提案など、手厚いサポートまで行っているメーカーがおすすめです。
導入前のサポート体制が充実していると設置後の運用トラブルが少なくなり、安心して利用できます。サポート体制の確認は見逃しがちですので、意識して確認しましょう。
まとめ
入退室管理システム導入前は、まず暗証番号・ICカード・生体認証のどの認証方法が自社に適しているかを確認します。そして、求める認証方法が設置できるか、鍵は交換タイプと後付けタイプのどちらがいいかをチェックしましょう。予算・セキュリティの高さ・他システムとの連携のしやすさ・サポート体制の充実さで選びます。
選ぶポイントの予算では、入退室管理システムは長期的に利用するものですので、導入コストだけではなくランニングコストを考えます。何を目的として導入するのかで選択しましょう。各チェックポイントを踏まえた上で、目的と費用のバランスを考え、他システムの連携とサポート体制で作業の効率化も図ります。